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二宿六峠小話

■山岡鉄舟の行く手を阻んだ薩埵峠の事件

  知名度・認知度   ★★☆☆☆(星2つ)

 山岡鉄舟は昼夜兼行で、江戸から早馬を飛ばして駿府に向かっていた。目的は駿府に駐屯する徳川慶喜追悼軍参謀の西郷隆盛と談判し、慶喜の助命と江戸城下百万人の生命と財産を守るため、彼は決死の覚悟でただひたすら馬を飛ばして薩埵峠の麓〔西倉沢〕に到着した。
ところが東海道の難所「薩埵峠」には、官軍が山岡鉄舟を待ち伏せしていた。このため峠を越すことができない。そこで倉沢の望岳亭〔料亭〕主人と次郎長に導かれ、鉄舟は舟に乗り清水湊経由で駿府に到着し、駿府伝馬町の松崎屋で会談を実現させた。
鉄舟は自分の行動を日記に記していたが、慶応4年(1868)3月7~8日の2日間について記録はなく、空白の2日となっている。理由は、助けてくれた望岳亭に迷惑を掛けたくなかったものと推測される。
  謎の2日間を傍証するかの如く、由井宿の望嶽亭には秘密の隠し階段と山岡鉄舟のピストル〔フランス製〕が残され謎を説く手掛かりとなった。清水港では次郎長が鉄舟を待っていた。この時、望嶽亭の亭主の援助が無かったら、江戸城無血開放と徳川慶喜の助命嘆願のための会見はなかった。慶応4年(1868)3月7~8日の2日間には、薩埵峠をめぐって重大な歴史的出来事を物語っていた。
テーマ:その他

■歴史が動いた道 東海道の要衝「薩埵峠」

  薩埵峠、ここは箱根や鈴鹿越えと並ぶ東海道の難所として険しい崖際の山道です。244・4mの峠は東海道由比宿と興津宿にまたがり、東は西倉沢の麓、西は興津井上町と東町が麓として東西の要衝の地にあります。峠から眺める風景は、見る者の心を驚かせるばかりに美しい風光のため、昔から絵画・浮世絵・歌舞伎の素材として街道文化を盛り上げ、旅人にとっては深く心に刻まれ多くのドラマが生まれた峠の山道でした。
江戸時代はじめ著された『東海道名所図絵』には、「此(この)道(みち)は山水の風景真(しん)妙(みょう)にして東海第一の勝地なり」と記さています。峠のある由井町が静岡市と合併したことから、静岡市は「蒲原・由井・興津・江尻・府中・丸子」の六宿を持つ全国的にも珍しい政令市であり、これからは六つの宿場が持つ固有の街道文化を生かした町作りを全国に広め、個性溢れる静岡市としたいものです。
峠から眺める風景は、この世のものとも思えない程に美しい白雪の富士山、紺碧に輝く駿河湾はどこより青く、太平洋はどこまでも広く壮大な大自然の美に眼を見張ることは今も同じです。峠の西方には清見寺・日本平・三保の松原、それに府中宿(旧静岡市)の先には安倍川や丸子方面も遠望できます。東方には由井宿や蒲原宿が見渡せられ、遠方には富士山がどっしりと存在感をもって広がっています。
薩埵峠は、東海道の東西を見渡せる歴史と自然と街道文化の至宝とも云える美しい峠であり、静岡市の宝石に例えて良い美しい場所です。戦国期は今川氏と武田氏の壮絶な戦いが起こった場所でもあったが、今は眼下に国内でも有数な交通幹線が集中し、日本の交通の要衝つまり「東海道の首ねっこ」となっています。
「薩埵」の名の由来は、この世とあの世を分ける(さつた地蔵)が祀られていたことから呼ばれています。由来を尋ねると、昔、田子の浦〔西倉沢の浜辺の古地名〕の海中で拾われた薩埵地蔵をこの山中に安置し、結界として周辺地域に悪魔や病気が入らないことを祈願して、また地獄に向かう死者を救う薩埵地蔵信仰の霊場として祀られ、周辺の人々が昔からお参りす習慣がありました。その山道が東海道の本道となって、新しく道が造られ人馬が往来できるようになったのが現在の薩埵峠の道でした。
薩埵峠越えの道の変遷は、昔は「上道・中道・下道」があり、下道は浜道に打ち寄せる波間の危険を冒して進む「親知らず子知らず」の難所でした。それが朝鮮通信使の来朝によって、惨めな海浜の道を改めて今の姿へと次第に移り変わったのです。薩埵峠の道は、日本の道の文化財でもあることを記憶したいものです。素晴らしい眺望を兼ねて、是非、歴史の道を歩いてみては如何ですか。

■薩埵峠の主な出来事

今川・武田薩埵・八幡平合戦   
1568 武田・北条薩埵山・興津川の合戦
1655 朝鮮通信使の通行を機に、薩埵山に中道開削
1744 薩埵峠に「さつたぢぞうみち」の碑建立
1855 薩埵山下の海岸地震で隆起
1889 東海道線開通により通行者激減する〔地方道となる〕

 

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